2008年04月06日14:12
青少年のためのネット規制に関するエントリがいくつか上がってきていたので、見てみました。自分では気づかなかった視点などが色々あって興味深いです。(以下私が読んだ順です。)
・青少年ネット規制法案 − おおやにき
・フィルタリングの技術的問題点を知らしめる活動 − ratio - rational - irrational
・いつか、平野綾語録を手にしたゆとり兵たちに猫耳帽をかぶらされる日。 − らめぇ
・日本のインターネット産業に大きな節目?--自民と民主が重要法案を準備 − CNET Japan
・12年遅れでネット規制に乗り出す自民党 − 池田信夫 blog
・ネット料金が高騰し、政治家の懐に入る法案が審議されてる!? − らばQ
以下、興味深かった部分を引用させて頂きました。
12年遅れでネット規制に乗り出す自民党 − 池田信夫 blog
インターネットの歴史を知っている人ならすぐ気づくと思うが、これは1996年にアメリカで成立した通信品位法(CDA) と同じだ。これに対して消費者団体ACLUが訴訟を起し、1997年に連邦最高裁で違憲判決が出て、CDAは葬られた。それ以来、この種の規制は表現の自由を侵害するもので、公権力は介入すべきではないし、その効果もないというのが世界の常識だ。インターネットには国境がないのだから、国内法でそんな規制をしても、有害情報の圧倒的多数を占める海外のサイトは取り締まれない。今時こんな時代錯誤の法案が国会に出されるのは日本の恥だ。
アメリカの通信品位法(CDA)に関しては私はよく知らないので、後で調べてみたいと思います。青少年だけの規制ではなさそうです。
それから、海外のサイトをフィルタリングできるのかどうか。技術的にはドメインで弾いてしまえば良いので可能なのかもしれませんが、法的にはどうなんでしょうか。
海外サイトを規制できないならやる意味ないんじゃんないかと思うんですが素人考えでしょうか?
フィルタリングの技術的問題点を知らしめる活動 − ratio - rational - irrational
つまりは、それぐらい、「有害」なものを検出するというのは技術的に難しい。貴重な情報を誤って「有害」と見なしてしまったり(false positive)、そのくせ露骨な性暴力コンテンツみたいなのを「有害でない」とみなしてしまう(false negative)。これが現代の技術の限界だ。
若干の問題があってもやれることはやるべき? いや、問題が多すぎると言ってるんだ。false positiveとfalse negativeがあまりも多すぎる。そしてこの両者は、一方を減らそうとすれば他方はますます増えていくという関係にある。
誰がどのように判断するかという問題が大きいと思います。有害かどうかのfalse positiveとfalse negativeの問題はずっと続いていくと思いますね。
キーワードで規制するサイトを弾いたりするのはナンセンスだし、個別のコンテンツを公平に判断しようとすると、その判断は限りなく難しく、多大な労力とコストを必要とすると思います。
また、青少年を守ると言いつつ、青少年を差別しているんじゃないかという問題。
いつか、平野綾語録を手にしたゆとり兵たちに猫耳帽をかぶらされる日。 − らめぇ
全世代にわたってすでに一般化しつつある/したものを子供からのみ取り上げたうえで「自分たちの若いころにはそんなものはなかったんだからそれで生きろ」なんて言われても、子供にしてみればふざけるなとしか言いようがないだろう。
言われてみれば、元々インターネットが無かった時代に生きてた人からネットが取り上げられるのと、インターネットがあるのが当たり前の時代で生きてる人から取り上げるのはちょっと違うだろうなあ。
自分がネットを取り上げられたら空っぽな人になっちゃいそうなのに、もっとネットを必要としている世代からネットを取り上げろとか私が言えば、それはひどい話ですよね。反省しています。
子供を子供扱いしすぎという気もしてきていますが、一方で教えるべきところは教えるべきだと思います。青少年と一緒にインターネットをやって、「あのね、この動画は著作権という法律に抵触する可能性があるから、君はこういう動画を投稿しちゃダメだよ」とか話しながら教えるべきなのかもしれない。
いつか、平野綾語録を手にしたゆとり兵たちに猫耳帽をかぶらされる日。 − らめぇ
まるでエロが悪いもの、エロに触れるのが悪いことであるかのように、物心ついてから10年以上も大人から言われ続けたら(しかも『保護』という名目で、善意を装って)そりゃあ気に病むひとだって出てくるさ。そういうひとたちが、長じて差別を再生産しているのではないかな。ちょっと前に流行った表現を用いるなら「憎しみの連鎖」だ、
憎しみ−−そう、抑圧は憎悪を生み出す。
青少年のためのネット規制は、保護という名の正義を振りかざして、差別を助長していく可能性は大きいという気もする。規制の名のもとに、規制すべきではないコンテンツを規制しちゃったりしないのか。その規制に差別の視点は含まれていないのか。
フィルタリングの技術的問題点を知らしめる活動 − ratio - rational - irrational
同性愛者団体はインターネットという媒体を通じて、同性愛ということで悩んだりからかわれたりしている子供に対して「生きろ」「こうやって大人に助けを求めればいい」というメッセージを送ってきた。性同一性障害者団体もそうだ。現状のフィルタリング実装は、このようなメッセージが子供に届かないようにしようとしている。
インターネットで犯罪に巻き込まれたりする青少年がいる一方で、ネットからのメッセージによって救われている青少年がいるのだ。マイノリティの青少年の人たちにとって、心のよりどころになっているのかもしれない。私はその事を忘れていたような気がする。
物事には良い面もあれば、悪い面もある。ネットの規制は、包丁が危険だからと遠ざけるようなものだ。遠ざけるばかりが正解ではないような気がする。使い方を教え、なぜ危険なのか、どう使えば危険なのか、教えることが必要な気がする。包丁が犯罪に使われる事ばかりをクローズアップして青少年から遠ざければ、青少年は料理の喜びや楽しさを知る事は出来ない。正しく使えば危険でないということを知る事も出来ない。
それらの事を青少年は判断できないと、私は青少年を見くびっていたのかもしれない。
そして、ネットを規制したからと行って、いじめや犯罪がなくなるわけではないだろうなあと思う。いじめや犯罪が形を変えるだけではないかと思います。
法的な疑問点に答えてくれてるのはこのエントリ。
・青少年ネット規制法案 − おおやにき
「青少年健全育成推進委員会」に異議を申し立てる方法は無いわけではなさそう。有害情報を流しても即、懲役刑になるということではなさそう。サイト全体を会員制にする必要はなさそう。個人のサイトが必ずしも対象になるわけではなさそう。
一次情報(実際の法案)に当たれないのがもどかしいし、当たってもたぶん法的な理解は出来ないと思うので、こういう冷静な分析のエントリはありがたいです。
法案の内容によってはツッコミどころが変わってくるし、脊髄反射的に「これは悪い法案だ」と決め付けずに、どこが問題なのかしっかり考えていきたいと思います。
あと、気になるのはフィルタリングの有効性ですよね。
ネット料金が高騰し、政治家の懐に入る法案が審議されてる!? − らばQ
さすがに海外接続封鎖は無いだろうと考えると、今度は逆にこの法律の意味がまるで無くなることに気付きます。
海外サイトが相変わらずならそこにアクセスすればいいだけですから。
たとえば有名な巨大掲示板である2ちゃんねるなどもアメリカにサーバがあるという話は有名です。実は2ちゃんねるだって海外サイトなわけです。この法律では2ちゃんねるを未成年に見せなくする事はできないでしょう。
フィルタリングソフトにしても、回避手段はいくらでもあります。未成年の間で回避手段が流通するだけで終ってしまうでしょう。
ようするに税金を使って無駄な仕事を発注する事になるわけです。
あきらかな税金の無駄使いです。
フィルタリングが『ザル』のようなものであれば、やる意味は全くないです。官僚の天下り先が増えるだけ。インターネットの仕組みを知らない人から見れば、インターネットが「悪」であり、規制しようと頑張っている方々は「正義」であり、規制しとけば話は解決ってことでしょうけど、いろんなところでいろんな人たちが犠牲を払って導入されて、結局意味が無いものになっちゃえば誰が喜ぶんだろう。
法案が通って規制が開始されたら、青少年犯罪のニュースの締めには必ずフィルタリングの事が触れられそうです。
「今回の事件を起こした少年の自宅のパソコンは、フィルタリングが適応されていなかった。」
「今回の事件を起こした少年が使っていたブログサービスのサーバーは海外にあり、フィルタリングの適応を受けていなかった。」
「今回事件を起こした少年が使用していた巨大掲示板では、フィルタリングを無効にする方法が繰り返し投稿されていたと言う。」
ブログをやっている身としては、何らかのとばっちりは、いずれ確実に及んで来そうな気がします。
どういう形で及んでくるのか、今はまだ想像すら出来ていませんけど。
<追記>
米国通信品位法に関してちょっとだけ調べてみました。
<参考>
・わいせつ画像等の流布などを禁ずる「通信品位法」に米最高裁が違憲判決
・「CDA」対「言論の自由」、最終ラウンドの判定は? − サオリ姉さんのSurfin'USA
・米国通信品位法 − ITpro
・児童オンライン保護法 − ITpro
1996年2月に米国通信法が改正された際、インターネット上でわいせつ画像などの流布することを禁止する条項が盛り込まれ、この条項(Communications Decency Act:CDA)を通称「通信品位法」というようです。
結局、現在日本で取りざたされている法案と全く同じような主旨だと思われます。
この条項に対し、
「ポルノ雑誌を子供が自由に閲覧できるようなインターネット環境は規制すべき」とする司法省(=法務省?)を、
「参加者が未成年であるかどうか確認できない環境での言論の規制は、成人に対する言論の自由侵害となる」とする人権擁護団体が訴えていたようです。
1996年6月12日に米フィラデルフィアの連邦地方裁判所が違憲判決を下したため、司法省がこれを不服として最高裁に上告。
1997年3月19日最高裁で口頭弁論が行われ、「センサーソフト」が既に低価格で普及している事から「親が子供を守る手段は存在するのだから、人間としての権利を侵害する必要はない」という主張が人権保護団体側から行われたようです。
1997年6月26日、新通信法のうちインターネット上でのわいせつ画像等の流布を禁じる条項(Communications Decency Act:CDA、通称「通信品位法」)に対し、米連邦最高裁判所は、言論の自由を保障する憲法に反するとの違憲判決を下した。
という流れのようです。
さらに、アメリカでは、児童オンライン法というのもあったようです。
2003年3月米連邦最高裁判所で違憲判断が下されましたが、児童オンライン法は通信品位法の焼き直しとしてCDA II とも呼ばれているとのことです。
日本での今回の法案は、CDAの焼き直しのCDAIIのさらに焼き直しという位置づけになりそうです。
日本は、携帯キャリアやISPのフィルタリングが既にある事とか、ブラウザやソフトによるフィルタリングが可能ということがあんまり知られていないような気がします。
そこがアメリカとは違うのかもしれません。
同じような裁判があったら、日本ではどのような判断が下されるのでしょうか。
あと、アメリカにサーバーがあるサイトが、日本で法案が成立した事によりフィルタリングを受けたとアメリカの裁判所に訴えたらどうなるのかとかも気になります。
<追記>
「何故政治にネット規制反対派の声が届かないのか?」という問いに対する管見 − I@K accelerated: hatena annex, bewaad.com
米連邦最高裁判所が下した違憲判決に関しての誤解を正すエントリ。
陰謀論はやめた方が良いと諭している冷静な意見も。
この記事へのコメント
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ごろ太郎
2008年04月06日 14:48
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何がよくて何が悪いんでしょうかね、世の中w 私の若いころはネットなんてありませんでしたが、小学校の頃裏本見てましたしねw(裏本w死語w) ダイヤルQ2、テレクラとか経て昨今のネット出会い系でしょ。 媒体の規制が根本原因ではないような気もしますね。 しかし放置っていうのも…難しい問題ですね。 |
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afiliate
2008年04月06日 16:45
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どおも〜ごろ太郎さま。
そうですね。何が良くて何が悪いのか、私にもわかりかねて困っておりますw。 あせって法案を成立させる前によく議論してほしいものです。 議員の方々のウェブに対する知識レベルがせめて私(ウェブ歴3年へっぽこ初心者)より上である事を願っています。 もし、よく理解されていないのであれば、ウェブの事をよく理解されてから法案を出された方がよろしいのでないでしょうかとご助言差し上げたい気がします。 |

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